『HYODO 八潮秘宝館ラブドール戦記』自宅を世界唯一のラブドール秘宝館にした男のドキュメンタリー

『HYODO 八潮秘宝館ラブドール戦記』自宅を世界唯一のラブドール秘宝館にした男のドキュメンタリー

2022-09-02 11:11:00

『HYODO 八潮秘宝館ラブドール戦記』を配給するエクストリームの叶井俊太郎氏自ら「感情移入できない」と評し、福田光睦監督は、「オフビートな感じの『ゆきゆきて進軍』」と語り、映画の主人公である兵頭喜貴氏は、その映画紹介のYoutubeをみて、以下のように自身のブログに綴っている。

「珍品、不思議な映画、感情移入出来ない、全ての指摘が正しくて、聞いてて爆笑しました。まず『HYODO』は、人類史上類を見ない映画のはずです。自分もこの世の全てを知っている訳ではありませんが、あの叶井さんが珍品と断言してるんですから、間違いないでしょう。また、世界に1匹しかいない珍獣の実態を追ってる訳ですから、不思議の宝庫にもなるでしょうね。”感情移入出来ない”という指摘は新鮮でした」

『HYODO』映画紹介と福田監督の登場は22分辺りから

兵頭喜貴氏は、2021年9月に行われた埼玉県八潮市議会議員選挙に大日本ラブドール党総裁として立候補し、92票を獲得したが落選した。立候補して訴えたことは書籍『東京DEEP案内』において、一方的に何の根拠もなく「首都圏住みたくない街1位」に八潮市と決めつけたことに憤り、市議会で出版に関して非難決議、出版差し止め要請を行うことだった。

『HYODO 八潮秘宝館ラブドール戦記』は、その八潮市に『八潮秘宝館』を営んでいる兵頭喜貴のドキュメンタリー。その秘宝館には20体のラブドールが展示され、Googleマップで「八潮秘宝館」と検索して外国からの来場者も多いという。

配給宣伝のエクストリームの宣伝文句は「《ジャパニーズ・ヘンタイ・カルチャー》の頂点にして極北!地上波&YouTube では絶対に視聴不可能! 自宅を世界唯一のラブドール秘宝館にした男の、狂気の日々を完全ドキュメント!」だ。

鑑賞にあたってのご注意:映画冒頭のラブドールとの絡みシーンから始まり、一切「感情移入することができない」ということを覚悟の上、映画をご覧ください。

 

ストーリー

埼玉県八潮市の住宅街のド真ん中で“世界唯一のラブドール博物館”こと「八潮秘宝館」を経営する男、兵頭喜貴。かつては《ラブドール写真家》として活動していた兵頭は、日本国内でも、“知る人ぞ知る”マイナーな写真家のひとりに過ぎなかった。だが、彼の人生は自宅を珍セックスミュージアム「八潮秘宝館」として公開することで一変する――!

 

兵頭喜貴インタビュー(聞き手:福田光睦監督)

――なんで映画をつくろうと思ったんですか?

濱野ちひろさんという作家の人がウチに取材に来て、人形と俺がヤッてる動画を見せたんだよ。その人の取材のテーマが「人間以外のものを好きになる人」だったので、「あなたが1番見たいのはこれでしょう?」ってね。濱野さんはドキュメンタリー作家で、その前は動物とセックスする獣姦の人たちのドキュメンタリーの本『聖なるズー』を出して、何か賞をもらって(第17回開高健賞)話題になった人。その新作の取材の第1号が俺だというわけ。それで、彼女がその映像を見て「これは凄いですよ」って言って。あと「プロの作家なのになんでこれをお金にしないんですか?」って言うわけ。「これを『Netflix』とかに流れるようにしたら働かなくても生きていけるようになりますよ!」って言われて、「えっ、そうなの?」みたいな感じで。

――あの映像で何もしないで生きていけるってその方の見込みも凄いですけどね(笑)。

そりゃあ俺もそこまで真には受けてないけどさ(笑)。それが2020年の暮れで、コロナ騒動の最初の年の暮れだったと思うの。そう言われて、しばらく何日か考えて。でもあれだけじゃちょっとダメじゃん。それでもうちょっとこう長い半生みたいなのを入れようと思った時に、パッと思いついたのが福田くんが作った『ネットで噂のヤバイニュース超真相』(第3話/埼玉県八潮市に世界初のラブドール秘宝館を建てた男)。あの番組の感じと僕の動画を組み合わせたら相当ヤバいものになるんじゃないのかって思いついて、1週間以内に福田くんに連絡したんだよね。その時に福田くんもコロナでイベントとかできなくなって、相当腐ってたんだよね。

――確かに腐ってた(笑)。自分自身、コロナで何か動き辛いと思ってて、兵頭さんから誘ってもらったおかげで動けたから、個人的に凄いよかった。

そういう時期だってのを聞いてたんで、『これ作ろうぜ」って言ったんですね。それで2011年の1月に秘宝館のブツ撮りの撮影を始めて、1月の終わりぐらいに秘宝館の入口を解体するところとか、人形を洗っているところを撮って。あとはそれと並行してインタビュー、ミーガンとかmiyakoちゃんにも撮影をお願いして。

――結果的に『HYODO』は写真も含めて、過去の作品がこれで合体してアーカイブになりましたよね。

俺は元々大学映画サークル特撮研究会の会長で映画作ってたから。若い頃は池袋ロサ会館とか通ってたから、いずれ監督とかカメラマンとしてその舞台に立つと思ってたんだけど、まさか映される方になるとは思わなかった(笑)。

――写真家として生きていこうと思っていたんですか?

まだ当時はそういうスケベ心もあったと思う。20代の半ばぐらいまでは今とは全然違う写真を撮ってたんだけど、「こういうことをやってたんじゃダメだ」って気づいて、27歳くらいで何か違う道を探らなきゃいけないと思って大学院に行くことを考え始めていたら、そんな矢先に人形を買うつもりで色々調べてたんだよね。マネキンメーカーからカタログを取り寄せたり、オリエント工業の一番最初の頃のホームページを見たりとかして。それが2000年で、人形を買うことを考えていたら、ゴミの山で焼けてたマネキンを拾った。そこから人生がパッと変わって、そこからずっと同じ感じで、迷ってないな。次の大きい転換期は家を買ったこと。

――だから、やはり必要性があったんだよ。たぶん“ラブドール写真家”では無理があったんだよ。最初に会った時はまだ足りていなかった感じがしたけど、八潮秘宝館を作ったり、死にそうになってたり、僕が会っていなかったこの10年くらいの間に足りてなかった要素が兵頭さんの人生の写真以外のところで発動していて、完成したんだと思う。

それはそうなのかもしれないね。

 

 

福田光睦監督

Modern Freaks Inc.代表。YouTube番組の『角由紀子のヤバい帝国』やAmazonプライム・ビデオにて配信された実写ドキュメンタリー番組『ネットで噂のヤバいニュース超真相』を手掛ける。

 

 

予告編

 

公式サイト

9⽉2⽇(金) 池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
9月16日(金) アップリンク京都にて公開

監督・撮影・編集・録音・企画:福田光睦
企画・制作・作品提供:兵頭喜貴
出演:兵頭喜貴(八潮秘宝館)、Megan Alexander、miyako、森川俊秀、らすかる、角由紀子

2021年/日本/116分/DCP/ステレオ/カラー/R18+

製作:兵頭喜貴、モダンフリークス
配給:エクストリーム

©HYODO

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