シェフィールド・ドックフェス最優秀作品に米国移民の強制収容所を描く『Sansón and Me』

6月23日から28日まで開催されたイギリスのシェフィールド・ドックフェスのインターナショナル・コンペティション部門の最優秀作品賞を、ロドリゴ・レイエス監督(メキシコ、アメリカ、2022年)の『Sansón and Me』(サンソンと私)が受賞。

ロドリゴ・レイエス(Rodrigo Reyes)監督は、終身刑を宣告されたメキシコ人移民、サンソンと再会する。監督は、彼の裁判で通訳を務めた際に出会った人物だ。
国境がサンソンの人生を規定している。メキシコとアメリカの物理的、心理的な境界線がある。そして今、獄中での生活を見ていると、彼と彼の愛する人たちとの間にあるものが見えてくる。刑務所内での撮影は禁止されているため、レイエスは彼の家族の協力を得て、手紙や訓練を受けていない俳優を友人役に起用し、サンソンの人生を再現することに成功した。この映画は、移住、家族という概念、自分の人生をフィルムに映すことの意味、そしてアメリカの刑務所制度の厳しさと不公平さについて考察している。

審査員のエマ・デイヴィー、アイク・ナエブエ、レイモンド・ファタナヴィラングーンは、「監督は、米国における移民の強制収容という、あまりにも目に見えず、無視されがちな題材を選択した。若い移民の主人公と協力して、彼の絶望の背後にある社会経済的状況を進化させる革新的な映画言語を見つけることで、法律を超えた個人的な物語に共感させることに成功している」と評した。

特別賞は、『One Day in Ukraine,』 Volodymyr Tykhyy (Ukraine, Poland - 2022) と 『After the End of the World,』Nadim Mishlawi (Lebanon - 2022) が受賞。

シェフィールド・ドックフェス 受賞作品サイト