クローネンバーグNetflixに断られた理由を語る「彼らは非常に保守的でメインストリームを目指しているようだ」

カンヌ国際映画祭で新作『Crimes of the Future』がコンペティションで上映されるデヴィッド・クローネンバーグがバラエティ誌のインタビューに答えた。以下抜粋。

ーー撮影は当初トロントを予定していたそうですが、ギリシャのアテネで真夏の猛暑の中撮影したのですね

「結果的にはお金の問題でトロントでの撮影は不可能でした、これは当たり前のことなのですが。そこで、どの都市がリベートや政府の援助、あるいは投資をしてくれるのか、世界中を調べてみたところ、驚いたことに、これまで一度もこうしたことをしたことがなかったアテネが、市も国であるギリシャも非常に積極的に制作を進め、制作者にギリシャに来てほしいと思っていて、40%の投資を申し出てくれたのです」

ーー映画は実存的なテーマを扱っているようですが、タイムリーな感じはありますか?

「気候変動という要素がありますが、これは政治的な映画ではありません。レオ・ディカプリオが映画の中で気候変動について警告するような映画ではありません。でも、もしあなたがそれに興味がないとしても、それはこの映画の内容のほんの一部に過ぎないので、この映画が興味を引かないということではありません。この映画はラブストーリーでもあるのですが、とても奇妙なラブストーリーなのです」

ーー資金調達に関しては

「インディペンデント映画で、Netflixがない場合は、苦労します。このキャストでも『未来の犯罪』の資金調達に3年かかりました。お金を見つけるのが難しいのです。世の中の流れからして、みんな投資を恐れているんです。まあ、今は戦争があるからね...」

「確かに、AmazonやNetflixと話をしたのですが、彼らがやりたがるようなプロジェクトではなかったんです。そして、私の気持ちとしては、Netflixのストリーミングという現象にとても興味があったのは確かです。しかし、彼らはまだ非常に保守的だと思います。つまり、まだハリウッドのスタジオのようなものだと思うのです。私は、彼らは違うだろうと思いました。Netflixは、韓国やフィンランドから面白いストリーミングシリーズを配信していて、Netflixのオリジナル作品だと言っていますが、実際はそうではなく、作品を買い取ったものです。しかし、実際に自分たちで制作するとなると、彼らは非常に保守的だと思います。私の経験では、彼らはメインストリームで考えているように思います」

ーーNetflixでシリーズを制作されていたとのことですが。

「制作に挑戦して2エピソードまで行ったんですが、その後、やらないことが決まりました。映画的な意味でのストリーミングに興味があっただけに、残念でした。Netflixと話をしていたプロジェクトは、代わりに長編映画になる予定です。

ーープロデューサーのロバート・ラントスは、あなたの著書 "Consumed "をベースにした長編映画を開発中であると言っていましたね。その企画ですか?

「その通りです。まだ脚本はできていませんが、これから書く予定です。でも、今のところ、"The Shrouds "というもうひとつの企画が先になりそうです」

ーーNetflixはなぜこの作品を見送ったと思いますか?

「Netflixでシリーズ化するのはそう簡単ではないことがわかりました。むしろ、ある種の映画であれば、インディペンデント映画の方が作ってもらいやすいかもしれないようです。Netflixが好むような保守的な種類の映画ではない作品とかね。インディペンデントの配給会社や出資者が、より創造的な自由を与え、より実験的であることを望んでいるのだとしたら、ある意味、インディペンデント映画の未来は楽観的な気がします。なぜなら、彼らはNetflixが提供できないものを提供しなければならないからです。そして、その自由こそが、彼らが提供するものなのです」

ーーあなたの映画を観て気絶しないことを祈ります。あなたはとても優しい人に見えますが、あなたの頭の中から出てくるものはすごいですね。

「私は優しい人間です。ただ、世界を見ていると、こんな風に見えてくるんです」

 

『Crimes of the Future』予告編

 

参照元サイト Vraiety