上海国際映画祭、新人監督が主要賞を受賞 若手映画人支援の成果示す

第28回上海国際映画祭で、中国の新人監督・鐘凱峰(Zhong Kaifeng)のデビュー作『Atlantic Rhapsody』が最高賞の金爵賞を受賞した。映画祭が若手才能を前面に押し出した今年、その方針を象徴する受賞となった。
金爵賞の審査員長を務めたトニー・レオンらは、『Atlantic Rhapsody』について「人間存在の不条理を探求する大胆な実験的作品」と評価した。29歳の鐘凱峰監督にとって本作は長編デビュー作であり、国際的な映画祭の舞台で存在感を示す機会となった。同映画祭のアジアン・ニュー・タレント部門では、新人監督のGong Yiwenが青春ドラマ『Her First Taste』で受賞している。

今年の上海国際映画祭では若手映画人の育成が大きなテーマとなった。「SIFF Project」や「SIFF ING Young Filmmakers Program」などの支援事業を通じて新鋭監督の作品制作を後押ししている。映画祭によると、これらのプログラムからはこれまでに78作品が劇場公開へとつながった。今回受賞した『Her First Taste』もそうした支援制度から生まれた作品であり、中国およびアジア地域の新世代クリエイターを発掘する場としての映画祭の役割を示している。

一方で映画祭では、映画制作におけるAI活用も主要な議題となった。複数のフォーラムや実践プログラムが実施され、創作支援ツールとしての可能性と課題について議論が交わされた。世界の映画産業が変化を続けるなか、上海国際映画祭は若手監督の育成や新技術の活用を通じて、中国語圏の映画人に交流と発表の機会を提供し、国境を越えた協力関係の促進を目指す場となっている。

参照:Hollywood Reporter