カリー・バーカー監督のホラー映画『オブセッション 災愛』が、映画祭で配給権が取得された作品として歴代最高の興行収入を記録した。インディペンデント映画の流通モデルと若手クリエイターの台頭を象徴する事例として注目されている。本作は、世界興行収入2億2550万ドルを記録し、映画祭で配給権が取得された作品として歴代最高の興行収入を達成した。これまでの記録保持作だったマイケル・ムーア監督の『華氏911』の2億2200万ドルを上回る成績である。YouTubeを中心に活動してきたインターネット世代のクリエイターであるバーカー監督の本作は、2025年のトロント国際映画祭で上映され、フォーカス・フィーチャーズはNeonやA24との競争の末に配給権を獲得した。
『オブセッション 災愛』は公開後も異例の興行推移を見せ、2週目と3週目の興行収入が初週を上回った。これは1982年の『E.T.』以来とされる珍しい記録であり、4週目の落ち込みもわずか7%にとどまった。その結果、本作は『ダウントン・アビー』を抜き、フォーカス・フィーチャーズ史上最高興収作品となった。
一方、2004年の『華氏911』は、イラク戦争をめぐるジョージ・W・ブッシュ政権の政策を批判した政治ドキュメンタリーとして大きな議論を呼んだ。カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した同作は、ディズニーが公開を見送った後、ハーヴェイ・ワインスタインらによって劇場公開が実現した。『オブセッション 災愛』の記録更新は、社会的・政治的な話題作が牽引した従来の映画祭ヒットとは異なる形で、インターネット世代のクリエイターが映画産業に新たな成功モデルをもたらしていることを示している。