60歳以上女性の不在が示す構造的偏り――英調査が明らかにする映画業界のエイジズム

イギリスの最新調査により、映画において60歳以上の女性が主演する作品は、「クリス」という名前の俳優や話す動物が登場する作品よりも少ないことが明らかになった。年齢とジェンダーをめぐる構造的偏りが、依然として映画産業に根強く残っている。
イギリスの高齢化問題に取り組む調査機関であるCentre for Ageing Betterが実施した分析によれば、2023年から2025年のイギリス興行収入上位100作品のうち、「クリス」という名前の俳優が出演する作品は6本であったのに対し、60歳以上の女性を中心に据えた作品は5本にとどまった。
さらに、話す動物が主役の作品は、60歳以上の女性が主演する作品の4倍にのぼるという結果も示されている。この傾向は、娯楽性や市場性を優先する商業映画において、特定の属性が優遇されやすい構造を示唆している。

この結果について、俳優のエマ・トンプソンは、女性が人口の半数を占めるにもかかわらず、その物語が十分に描かれていない現状を指摘する。
年齢を重ねた女性の経験や視点が映画に反映されていないことは、単なるキャスティングの問題にとどまらず、語られるべき物語そのものの不足を示している。

対象期間にトップ100入りした作品のうち、60歳以上の女性が主演する作品は5本に限られた。一方で、過去3年間の興行上位作品のうち6本には「クリス」という名前の俳優が出演しており、その半数をクリス・プラットが占めている。
このキャスティングの偏りは、商業映画における特定の人物像への依存を浮き彫りにしている。こうした状況は、映画産業における多様性の議論が進む中でも、年齢という観点が依然として周縁化されている現実を示している。

参照:Deadline