世界の映画興行は回復途上にあるが、その中心はアジアへと移りつつある。CNCの最新調査は、ハリウッド中心の構造が揺らぎ、ローカル映画と多様性が市場の鍵となっている現状を示した。
フランス国立映像映画センター(CNC)がカンヌ国際映画祭で発表した調査によれば、2025年の世界興行収入は336億ドルと、パンデミック前の水準を依然として下回っている。
市場の不確実性や配信サービスの拡大、観客の嗜好変化が回復の遅れを招く一方で、中国の『ナタ 魔童の大暴れ』が世界興収1位となるなど、アジア市場が成長を牽引している。アジア太平洋地域は世界興行収入の42%を占め、そのうち22%が中国によるものである。
観客行動の変化により、映画鑑賞者はより選択的になっていると同調査は指摘する。「ハリウッドはもはや絶対的な存在ではない」とされ、市場の活力はローカル映画の成功に依存しつつある。
実際、アメリカの市場シェアは2019年の62.2%から2025年には54.1%に低下し、「単一文化は終焉を迎えた」とも言及された。配信サービスの普及により、観客が字幕作品や地域作品に慣れたことが、この変化を後押ししている。
こうした環境変化は、インディペンデントやアートハウス系映画館に新たな可能性をもたらしている。CNCは、多様な作品への需要の高まりを背景に、小規模館が作品選定やマーケティングにおいて柔軟性を発揮できると指摘する。
映画館が上映後トークや地域イベントを通じて「社会的ハブ」として再定義される中で、その役割は娯楽を超えた文化的拠点へと拡張しつつある。
参照:Variety