EU映画助成制度改革案に映画人4700人超が反対声明 カンヌ国際映画祭を前に危機感広がる

パヴェウ・パヴリコフスキやルーカス・ドンら欧州映画人4700人超が、EUの映画助成制度改革案に反対する公開書簡に署名した。独立系映画支援や文化的多様性への影響を懸念する声が、カンヌ国際映画祭を前に高まっている。問題となっているのは、欧州連合(EU)が進める「AgoraEU」構想である。「Creative Europe」助成プログラムの文化部門とメディア部門を統合する大規模改革案が検討されている。署名者らは、35年にわたり欧州映画産業を支えてきたMEDIAプログラムによる独立映画支援の基盤が損なわれる可能性を指摘している。

争点となっているのは、制度改革後、映画・テレビ・ゲームの開発、配給、研修、プロモーションを支援してきたMEDIAプログラムの映画・映像分野向けの専用予算が実質的に縮小する可能性である。現行制度では2021〜2027年に24億4000万ユーロが割り当てられているが、新制度では2028〜2034年に32億ユーロへ再編される見込みである。ただし、この予算は新設される「MEDIA+」に充てられ、映画・テレビ・ゲーム分野だけでなく、ニュースメディア分野にも予算が配分される予定である。署名者らは声明で、「全体予算が増加したとしても、映画・映像分野向けの専用予算が保証されていないことから、独立系制作、劇場配給、人材育成、そして欧州における文化的多様性の将来について、業界全体で大きな懸念が広がっている」と述べた。

公開書簡では、「民主主義と映画――ともにヨーロッパで生まれた両者の運命が密接に結びついていることを見失ってはならない」と記された。欧州委員ヘンナ・ヴィルックネンがカンヌ国際映画祭を訪問予定である中、今回の声明は欧州映画政策をめぐる重要な政治的アピールとなっている。

参照:Variety