チュニジア南部で開催されたガベス・シネマ・フェンは、中東・北アフリカ地域の緊張が続く中、政治的関与を重視したプログラムを展開した。ガザ情勢や地域紛争を背景に、映画を通じた「抵抗」と「証言」の場としての意義が浮き彫りとなっている。
第8回ガベス・シネマ・フェンは、イラン・米国・イスラエルをめぐる緊張や、レバノンおよびガザ地区の人道危機といった状況の中で開催された。映画祭ディレクターのアフェフ・ベン・マフムードは、芸術を「抵抗の行為」と位置づけ、困難な状況下でも開催を継続する意義を強調している。一部では移動制限などの影響もあり、準備は遠隔で進められた。
本年のプログラムは、政治的・社会的課題に積極的に向き合う作品群で構成された。パレスチナの歴史的映像に新たな音響を重ねた『Palestine: A Revised Narrative』をはじめ、ガザやベイルート、チェチェン紛争などを扱う作品が並び、地域の現実に複数の視点から迫る内容となった。
また、ガザを題材とした『The Voice of Hind Rajab』で知られるカウテール・ベン・ハニアも参加し、上映とマスタークラスを通じて議論の場を形成した。
同映画祭は、アラブ世界において政治的関与の強い映画祭として知られ、映画・VR・ビデオアートを横断するプログラムを特徴とする。
ベン・マフムードは、こうした表現の融合が観客の理解を深めるとし、異なるメディアを通じて現実を再構成する試みを重視している。地域情勢が不安定さを増す中で、ガベス・シネマ・フェンは映画を通じた意識喚起と連帯の場としての役割を強めている。
参照:Deadline