AI不使用認証「ヒューマン・メイド・マーク」始動 映画制作における人間の創造性を可視化

AI不使用の映画・テレビ制作を認証する新たな取り組み「ヒューマン・メイド・マーク」が始動した。生成AIの活用が広がる中で、人間による創作を可視化し、観客の選択に委ねる試みとして注目される。
この認証制度は、AIを用いていない作品に対し、上映前のアイデントやエンドクレジットでの認証マーク表示を行うものだ。近年はAIパフォーマーの登場やAI生成映画の企画が進む中、制作工程の透明性を担保する仕組みとして位置づけられる。この取り組みの狙いは、観客に鑑賞の選択における判断材料を提供することであり、食品におけるフェアトレード表示のような役割を果たすものである。

発起人のウィリアム・グレイヴとエリック・グルーバーは、フランスの先史時代洞窟壁画で知られるペシュ・メルルを訪れ、公式ローンチを行った。約2万9000年前の人類の創作痕跡を象徴的な起点とし、人間の表現行為の原点を強調する意図がある。制度はすでに美術監督タマラ・デヴェレルや撮影監督ダン・ラウステンら映画関係者の支持を集めている。

認証にはプロデューサーや監督、あるいは制作会社の代表者による、コールシート、舞台裏写真、クレジットリスト、審査用の限定視聴リンクといった証拠の提出に加え、法的宣誓が求められるなど厳格な基準が設けられている。現在は実写作品とストップモーションアニメーションの双方に対応しており、今後は他のアニメーション分野への拡張も視野に入れている。この認証プラットフォームの契約枠組みを構築した弁護士のアンチャル・カプールは、このプロジェクトを「AIによる脅威に直面する映画産業を守るための法の先駆的活用」と表現した。AIの活用をめぐる議論の中で、法的枠組みによる対応の一例といえる。

 

参照:Variety