「語れない現場」を撮る――CPH:DOX選出作に見る世界の現在

デンマークで開催されたドキュメンタリー映画祭CPH:DOXのオンライン企画「Europe! Docs」に、今年のコンペティション部門「DOX:AWARD」から6本のヨーロッパ作品が選出された。
本企画はEuropean Film Promotionとの共同プロジェクトで、アメリカのバイヤーに向けて紹介されている。

特別賞を受賞したノルウェン・エルヴェ監督の『The Cord』は、医療体制が崩壊したベネズエラで妊婦を支えるコミュニティ・ヘルスワーカー、カロリーナに密着した作品。
エルヴェはジャーナリストとしての経験を持ちながら、報道的手法ではなく、母性に関する個人的な問いを出発点に本作の製作を開始した。
現地ではフィクサーの協力を得て身分を明かさず取材を行い、抑圧的な政権下のベネズエラでは、ジャーナリストであることを公にすれば監視対象となる危険があったと語っている。

またエルヴェは、5月にベネズエラを訪れて以降もカロリーナと連絡を取り続けているという。
ニコラス・マドゥロをめぐる出来事やその後の政治状況の変化を受けても、人々の生活に大きな改善は見られず、不安が続いていると述べた。

選出作品にはこのほか、ルーツを探す同じ孤児院で育った女性たちの旅や、自治コミュニティの歴史、戦時下で生きる若者、過去の探検記録、未接続地域へのインターネット導入などを題材としたドキュメンタリーが含まれている。

参照:Variety