AI時代における映像文化の行方 CPH:SUMMITでブルーノ・パティノが提起

デンマーク・コペンハーゲンで開催されているドキュメンタリー映画祭、CPH:DOXに併設された産業イベント「CPH:SUMMIT」において、アルテ・フランス社長のブルーノ・パティノが基調講演を行い、AIの進展が映像文化とメディア環境にもたらす変化について言及した。

本年のサミットは「メディア主権:再考・構想・再定義」をテーマに掲げ、政治、研究、映像分野の専門家が集い、情報流通や技術の変化、真実の位置づけをめぐる議論が行われた。冒頭ではDoc Societyのビーディー・フィンジーが、AI「Claude」による2030年の業界予測を紹介し、公共放送の役割変化や情報環境の分断といった論点が提示された。

これを受けパティノは、従来の「ユーザーが情報を取りに行く」行動から、「コンテンツが届くのを待つ」環境への変化を説明。
ソーシャルメディアとアルゴリズムの普及により、コンテンツ流通の構造が変化したと述べた。また、AIの発展によりコンテンツ制作量が増大する一方で、産業的・技術的な標準化の進行により、多様性が縮小する可能性に触れた。

また、文化や報道、公共放送が担ってきた社会的役割の変容に触れ、「関係性の経済」という概念を提示。情報や表現がどのように届き、共有されるかという基盤そのものが変化している現状を示した。その上で、プラットフォーム主導の環境に対し、欧州における連携の重要性を強調。複数の公共放送とネットワークを形成するアルテの取り組みに言及し、映像文化の流通と接続のあり方について再考を促した。

参照:Variety