スイス・ニヨンで2026年4月17日から26日に開催されるドキュメンタリー映画祭「フィジョン・デュ・レール」にて、モロッコ出身のビジュアルアーティストで映像作家のメリアム・ベナーニに焦点を当てたプログラムが開催される。4月24日には、アーティストで映画監督のバレンティン・ヌージャイムとの公開トークが開催され、ベナーニの制作手法や映像作品が紹介される予定だ。
ベナーニは、3Dアニメーション、実写映像、ドキュメンタリー素材などを組み合わせたハイブリッドな映像表現で知られる。
2018年から2022年にかけて制作された映像作品『Life on the CAPS』では、架空の島を舞台に、テレポーテーションが移動手段となった世界を設定。違法にテレポートした移民を国家が拘束するというディストピア的状況を通じ、移民問題を新たな角度から描いている。また、2020年のコロナ禍には、オリアン・バルキと共同でミニシリーズ『2 Lizards』を制作。擬人化された2匹のトカゲが無人のブルックリンをうろつく物語で、ロックダウン中の落ち着かない世が孕む鬱屈を見事に描ききった。本作は、3Dアニメーションとノンフィクション映像を組み合わせた構成となっており、Instagramで大旋風を巻き起こした。
同映画祭では、バルキと共同監督した初の長編映画『Bouchra(ブシュラ)』のスイス・プレミア上映が予定されている。本作は3Dアニメーションやドキュメンタリー素材、擬人化されたキャラクターを組み合わせた作品で、ニューヨークに暮らすモロッコ出身のコヨーテの映画監督ブシュラが、カサブランカで心臓医として働く母アイシャとの関係を通じて、自身の同性愛が家族に与える影響を見つめる物語となっている。表現技法の多様性に加え、クィア文化や母娘関係を描くハイブリッドな作品として、ベナーニの文化表現の特徴を捉えることができる。