ベルリン国際映画祭のディレクターであるトリシア・タトルを支持する公開署名が、映画業界関係者の間で広がりを見せている。
この署名活動は、映画祭の運営や今後の方向性をめぐる議論が高まる中で行われたものである。署名者はショーン・ベイカー、トッド・ヘインズ、ティルダ・スウィントン、マーレン・アデら、国際的に活動する映画人を中心に約700人に達し、映画祭運営を巡る動きに注目が集まっている。
この公開書簡は、映画祭での発言をめぐる批判を受け、ベルリナーレの将来の方向性について協議するため、ドイツ文化相のヴォルフラム・ヴァイマーが招集した臨時会合を前に発表された。会合では、映画祭の指導部のあり方を含む運営上の課題が話し合われるとされている。
書簡では、映画祭における一部の発言や象徴的な行為を理由に運営責任者の進退が議論されている現状を踏まえ、指導部の人事を超えた問題が提起されている。具体的には、芸術的表現の自由と、文化機関が政治的圧力からどのように距離を保つかという点が論点として示されている。また、登壇者や映画制作者個人による発言は映画祭運営そのものの見解とは切り離して受け止められるべきであり、異なる立場や声が可視化されること自体が国際映画祭の機能の一部であると記されている。加えて、映画祭を外交手段ではなく、多様な視点や意見が交差する文化的空間であると位置づけ、文化機関の独立性が、芸術の自由のみならず民主的な議論の場を支える重要な要素である点を指摘している。
今後、複雑さや曖昧さと向き合う場として映画祭が果たしてきた機能を踏まえ、運営方針がどのように整理されていくのかが注視されている。
参照:Variety