映画『ダブル・ライフ』の初日舞台挨拶が19日、東京アップリンク吉祥寺にて行われ、キャストの菊地敦子、古川博巳、若狭ひろみ、川口紗弥加、監督の余園園が登壇した。本作は、日本在住中国人女性監督の余園園が全編日本人キャスト&日本語で贈る長編初監督作品。
レンタル夫との二重生活を送る中、他者の体に触れ相手の心を感じ取る身体的かつ心理的アプローチを通して、自身の新たな感情に気づいてゆく女性の姿を描く。
向かって右から、川口紗弥加(キャスト)、古川博巳(キャスト)、余園園(監督)、菊地敦子(キャスト)、若狭ひろみ(キャスト)
アフタートークに登壇した余監督は「撮影から2年越しで劇場公開を迎えることができて、感無量です。本日おいでくださったみなさま、本当にありがとうございます!」と満席近い客席に向けて挨拶し、観客からあたたかい拍手を浴びた。その後、登壇したキャスト5名は、撮影時のエピソードなどを披露した。
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【菊地敦子】
少数精鋭で突っ走ったような思い出があるのですが、実はカフェの定員を演じてくださったのが助監督の方だったり、部屋の内見をする際の不動産屋さんが照明の方だったり、そしてそのスタッフさんたちがまた演技がうまくて。「負けた〜」って思ったことが懐かしいですね(笑)
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【古川博巳】
「淳之介」と「亮」という二人が対になっているのですが、淳之介役の松岡くんには会ったことがなかったので、「淳之介」が「亮」を演じるわけだから僕も同じようなことをしなきゃいけないのかなと考えながら、すこし早めに撮影現場に入って松岡くんの撮影を覗いていたんですね。そんなことを映画祭の時に話したら、彼も同じようなことを言っていて。あぁ、つながりあってるなぁと感じたわけです。そしてとうとう一昨日、彼とラインを交換しました!ので、ようやく友達になれたと思います。そして詩織ともこれからまた仲良くやっていけるかなと思っています(笑)
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【若狭ひろみ】
詩織とダンスの練習をしていたイメージしかないです。芝居の打ち合わせというより、ダンスダンスダンス。稽古から本番まで、ずーっと踊っていた記憶があります。監督に「私、本当に踊れないんですけど、いいんですか?」と言ったのですが、簡単に「大丈夫です!」の一言で終わってしまって(笑)「大丈夫なんだ」とホッとして、出演できました。
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【川口紗弥加】
私は撮影に参加したのが1日のみで、脚本を頂き、現場に行き、作品を拝見したのはスキップシティの映画祭でした。母国語ではない日本語でお書きになられた脚本ということで、日本語のナチュラルな表現に擦り合わせていくことや、ダンスという要素など、準備が大変な作品であると感じましたが、スキップシティで一番最初に拝見できたときに、「こういう作品だったんだ」と感銘を受けました。私が一日しか参加していない、それ以外のところで、どんなプロセスを経て、この作品になったのだろうと。この作品に出演できてラッキーだったと思いましたね。
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質疑応答タイムでは、「『重心は固まらず変化していくーー』というキャッチコピーがこの作品にとてもマッチしていて、重要なキーワードになっていると感じました。みなさま「重心」については、どのように捉えられていますか?」との質問を受け、登壇者全員がそれぞれの考えを語った。
【菊地敦子】
私はこの「重心は固まらず変化していくーー」という言葉からイメージして、「ゴールに向かわない」芝居を意識していました。亮と向き合っている淳之介と向き合っている自分、その瞬間瞬間、その場その場を真剣に全力で生きていくということはできるんじゃないかなと思って、そのことを心がけていました。
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【古川博巳】
僕は以前、SKIDシティ国際Dシネマ映画祭の帰りに監督と重心の話をしたのを思い出します。僕自身は重心を上方にとって、なるべく進みたいタイプなんですが、園園監督は根を張るように下に下に重心を持っていくという話をしてました。僕は頭から吊られている感じでブラブラと重力に反するタイプ、園園は逆で、どちらでも重心は取れるけど、でも動きやすさは違うよね、という話をしたことがあったんですが……覚えてますか? 覚えてないみたいね?(笑)
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【若狭ひろみ】
重心は、前とか後ろとか上とか下とか右左とか、色々あると思います。例えば右とか左とか、それだけだとただ傾いたという感じがするんですけど、普段生きている中で、ちょっとこっち行ってみようかな?と思う分かれ道みたいなものに人はよく出会うと思うんですね。だからダブル・ライフ(二重生活)にもすごく関わっている言葉だと思います。私の役で言えば、旦那さんがいなかったので、いないことの不足を授業には持っていけないし……といった気持ちを抱えていて、その重心の傾きを感じながら演じていました。
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【余園園】
シナリオを書く時はあまり「重心」のことを考えていなかったのですが、やっぱりダンサーにとって「重心」は一番大事だと思います。若狭さんが演じた久美子先生役については、重心は旦那さんにあって、だから旦那さんが亡くなってそれを失っていた。一方詩織は、やっぱり結局、自分自身に重心がある。でもそれは固まっているものではなくて、淳之介との関係性、亮との関係性の中で、どんどん変化していく。だから重心は物語の流れと自然にリンクした感じがします。
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【川口紗弥加】
園園さんの作品の中で、すごく印象的だなと思うのが、他人によらず自分自身の中の根っこを深くしていったりとか、自分自身がやりたいことを深めていったりとか、自分が納得できる方向に進んでいく女性の姿が描かれているなと感じていて、そのことと、園園さんご自身が人の生き方を探究されていることが重なるような気がしていて、そういったこととこの言葉が自分の中ではすごくリンクするような感じが致しました。
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最後は、以下の監督の御礼の言葉で締めくくられた。
「本日はこのように多くの方においでいただき、改めまして本当にありがとうございました!2年越しに悲願の劇場上映が決まりましたので、劇場のみなさん、スタッフさん、キャストのみなさん、観てくださったみなさん、この映画に関わってくださったすべてのみなさまに感謝申し上げます。そしてまた、これからもどうぞよろしくお願い致します!」
『ダブル・ライフ』予告編
公式サイト
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〈映画『ダブル・ライフ 』初日舞台挨拶(上映後) 詳細〉
〈日 程〉 4月19日(金)20:15〜20:45
〈場 所〉 アップリンク吉祥寺
〈登壇者〉 監督:余園園、キャスト:菊地敦子、古川博巳、若狭ひろみ、川口紗弥加
〈時間〉
20:15 舞台挨拶スタート
20:20 監督・キャストのご挨拶
20:30 質疑応答
20:40 フォトセッション
20:43 初日舞台挨拶 終了
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【アフタートークスケジュール】
4/19(金)余園園(監督)×菊地敦子(キャスト)×古川博巳(キャスト)×若狭ひろみ(キャスト)
4/20(土)菊地敦子(キャスト)×松岡眞吾(キャスト)×古川博巳(キャスト)×若狭ひろみ(キャスト)×浅田麻衣(キャスト)×余園園(監督)
4/21(日)菊地敦子(キャスト)×古川博巳(キャスト)×余園園(監督)
4/22(月)万田邦敏(映画監督)×菊地敦子(キャスト)×古川博巳(キャスト)×余園園(監督)
4/23(火)深谷正子(ダンサー・振付家)×若狭ひろみ(キャスト)×余園園(監督)
4/24(水)江藤あや(俳優)×若狭ひろみ(キャスト)×余園園(監督)
4/25(木)川島陽(ミュージシャン)×古川博巳(キャスト)×余園園(監督)
4/26(金)北村匡平(映画研究者・批評家)×若狭ひろみ(出演者)×余園園(監督)
4/27(土)砂連尾理(振付家・ダンサー)×菊地敦子(キャスト)×余園園(監督)
4/28(日)石井裕一(株式会社ファミリーロマンス代表)×菊地敦子(キャスト)×余園園(監督)
4/29(月)永山由里恵(俳優)×古川博巳(キャスト)×余園園(監督)
4/30(火)梅田誠弘(俳優)×若狭ひろみ(キャスト)×余園園(監督)
5/ 1(水)瑚海みどり(映画監督・俳優)×川口紗弥加(キャスト)×余園園(監督)
5/ 2(木)Sea(アルゼンチンタンゴ講師・銀座リベルタンゴ)×菊地敦子(キャスト)×余園園(監督)