第76回カンヌ国際映画祭【邦画特集】

フランスで開催された第76回カンヌ国際映画祭で、27日夜(日本時間28日未明)、授賞式が開かれた。日本からは、北野武監督『首』がプレミア部門にて公式上映され、是枝裕和監督『怪物』で脚本を手掛けた坂元裕二が、コンペティション部門にて脚本賞を受賞、ヴィム・ヴェンダース監督『パーフェクト・デイズ』で主演を努めた役所広司が、同部門の最優秀男優賞に輝いた。また、上田慎一郎監督のショートフィルム『レンタル部下』は、TikTokとカンヌ国際映画祭によるコラボ企画として今年第2回目を迎える、TikTokショートフィルムコンペティションでグランプリを受賞した。


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『首』

本能寺の変を題材に、欲と裏切りの愛憎渦巻く人々を描いた、北野武監督による時代劇。カンヌ・プレミア部門にて日本の実写映画が上映されたのは初めてのことで、北野監督がこれまでの実績により、海外でも高い評価を得ていることがうかがえる。監督は上映後のインタビューで、「カンヌには3、4回来ていて、あんまりいい思い出はないんだけども」と言いつつ、「映画は順位をつけるものではないから、呼ばれてここに来れただけでも光栄」と話した。日本では、11月23日公開予定。

Kubi – Photocall



映画『首』カンヌ国際映画祭 特別プロモーション映像



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『怪物』

湖のある郊外の静かな町を舞台に、学校で起きたケンカを発端に、それを取り巻く人々の思いや主張が食い違い、次第に社会やメディアをも巻き込んだ大事件へと発展していく様を描いた本作。『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督が、TVドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』などで知られる脚本家・坂元裕二によるオリジナル脚本で映画化した。『ラストエンペラー』で日本人初のアカデミー作曲賞を受賞し、今年3月に他界した坂本龍一が音楽を手掛ける。

本作はコンペティション部門に出品され、坂元裕二が脚本賞を受賞。また、LGBTやクィアを扱った映画を対象に贈られるクィア・パルム賞も受賞している。日本では、6月2日全国ロードショー。

Monster – Photocall



Monster - Red Carpet



Monster予告編


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『パーフェクト・デイズ』

『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』などで知られるドイツの監督ヴィム・ヴェンダースが、東京・渋谷区内17カ所の公共トイレを世界の建築家やクリエイターが改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」に賛同。本作は、東京・渋谷の街と、同プロジェクトで改修された公共トイレを舞台に、トイレの清掃員として働く男の些細な心の揺らぎやささやかな日々の幸せ描いたヒューマンドラマだ。

本作はコンペティション部門に出品され、主演を努めた俳優・役所広司が、最優秀男優賞を受賞。日本人では『誰も知らない』(2004年)の柳楽優弥以来の受賞で、19年ぶり2人目の快挙となる。また、キリスト教関連団体より、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞している。日本での公開は未定。

Perfect Days – Photocall



Perfect Days – Red Carpet



Perfect Days – Press Conference



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Perfect Days予告編


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『レンタル部下』

『カメラを止めるな!』で知られる上田慎一郎監督による3分弱のショートフィルムが、TikTokショートフィルムコンペでグランプリを受賞。これについて監督は、「世界80ヵ国から7万作以上の応募があったそうです。世界で戦える自信をまたひとつ頂きました。日本映画をもっと世界へ」と自身のSNSを通じて報告した。


本編