東京フィルメックス最優秀作品賞に『自叙伝』マクバル・ムバルク監督

第23回東京フィルメックス コンペティションの受賞結果が11月5日発表された。

審査員
リティ・パン ( Rithy PANH / フランス・カンボジア / 映画監督 )
キム・ヒジョン ( KIM Hee-Jung / 韓国 / 映画監督 )
キキ・ファン ( Kiki FUNG / 香港 / 映画プログラマー )


【最優秀作品賞】 
『自叙伝』Autobiography
監督:マクバル・ムバラク(Makbul MUBARAK)
インドネシア、フランス、シンガポール、ポーランド、フィリピン、ドイツ、カタール / 2022 / 116分

見事な演出による自信に満ちた映画スタイルで、モラルコントロールの巨大な網に対する個人の抵抗の探求は、次第に権力構造が不穏な邪悪さへと変化する様子を描いている。このテーマは緊急かつ普遍的である。

【審査員特別賞】 
『ソウルに帰る』Return to Seoul
監督:ダヴィ・シュー(Davy CHOU)
ドイツ、フランス、ベルギー、カタール / 2022 / 116分

私たちはどこから来て、どこへ行くのか? アイデンティティと出自を求めることで、疑問や可能性、新たな展望を切り開き、他にはない魅力的な文化と映画の旅へと導いている。


【審査員特別賞】 
『Next Sohee(英題)』
監督:チョン・ジュリ(JUNG July)
韓国 / 2022 / 138分
配給:ライツキューブ

企業文化や資本主義が効率や経済的成果を追求する冷酷な世界では、人命やその他の価値がどのように犠牲になっているかが考察されることで、人を搾取するメカニズムに光が当てられている。


【スペシャル・メンション】 
『ダム』The Dam
監督:アリ・チェリ(Ali CHERRI)
フランス、スーダン、レバノン、ドイツ、セルビア、カタール / 2022 / 80分

リアリズムとイマジネーションを融合させた芸術的で詩的なこの作品は、腐敗やグローバル化の危険性に対する人間のどうしようもない闘いを隠喩的に表現している。


■観客賞
『遠いところ』A Far Shore
監督:工藤将亮(KUDO Masaaki)
日本 / 2022 / 128分
配給:ラビットハウス

■学生審査員賞
 学生審査員:はるおさき(HARUO Saki / 東京藝術大学大学院)、山辺愛咲子(YAMABE Asako / 武蔵野美術大学)、高野志歩(TAKANO Shiho / 立教大学)

『地中海熱』Mediterranean Fever
監督:マハ・ハジ(Maha HAJ)
パレスチナ、ドイツ、フランス、キプロス、カタール / 2022 / 108分

この映画からは、彼らのアイデンティティを包み込むような優しさを感じました。
ユーモアあふれる演出の中に漂う、確かな絶望感。
決して明るくない社会に生きる一人の人間と、映画の外までも続いていく世界の広がり、そしてその先の人生も描き出されていました。