長らく観ることの叶わなかったフレンチコメディの傑作を一挙公開『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』アップリンク吉祥寺でも3月16日(木)まで上映中

映画監督、俳優、イラストレーター、道化師など様々な顔を併せ持つフランスのマルチアーティスト、ピエール・エテックス。
イラストレーターとして活躍していた20代半ばにジャック・タチと運命的な出会いを果たし、『ぼくの伯父さん』(1958)の助監督を務め、映画界に参入した彼は、のちに偉大な脚本家となるジャン=クロード・カリエールとタッグを組み、緻密な構想と見事な演出、そして無声喜劇へのオマージュに溢れた作品の数々を世に送り出していった。

フランスの法律によって失われていた上映権を取り戻すため、ジャン=リュック・ゴダールやレオス・カラックス、ミシェル・ゴンドリー、デヴィッド・リンチなどの映画人を含む5万人以上の人々が署名活動に協力し、晴れて2010年に権利が復活。エテックス監修のもとデジタル修復を施された作品を、世界各国で再び上映することができるようになった。

今回の特集上映『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』では、長編4作品と短編3作品を一挙公開。『恋する男』を除く6作品が、日本では劇場初公開となる。

昨年12月24日(土)からシアター・イメージフォーラムにて開催された本映画祭は、アップリンク吉祥寺でも3月3日(金)から3月16日(木)まで上映中。

【映画祭詳細】
タイトル:『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』
公開表記:2022年12月24日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
公式サイト:http://www.zaziefilms.com/etaix/
配給:ザジフィルムズ
協力:シネマクガフィン 

 

予告編

 

■上映作品

<長編4本>

『恋する男』

監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 
脚本:ジャン=クロード・カリエール

1962年/フランス/モノクロ/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル/84分/字幕:井村千瑞

ワイン工場の若い技術者ニコは、真面目な人柄で職人たちからも信頼を得ていた。出世主義者の同僚オタルは、そんな彼らを見下していた。工場はノルマ達成のため、未成熟のワインを瓶詰めするよう命じる。ニコは強硬に抵抗するが…。公開禁止となり、製作から2年後にカンヌ国際映画祭に出品。初めて西側で紹介された。イオセリアーニの名前が世界に知られるきっかけとなった記念すべき長編第1作。

© 1962 - CAPAC

『ヨーヨー』

監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 
脚本:ジャン=クロード・カリエール

1964年/フランス/モノクロ/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル/98分/字幕:神谷直希

世界恐慌で破産した大富豪は、サーカスで曲馬師をする女性と、彼女との間にかつてもうけた幼い息子とともに、地方巡業で暮らしを立てることに。サーカス界で成功をおさめた息子はヨーヨーという人気クラウンになる。時代が大きく変わる中、ヨーヨーはかつて父が所有していた城を取り戻そうと躍起になるが…。愛するサイレント喜劇と、幼い頃から憧れたサーカスへのオマージュに溢れた代表作。トリュフォーが絶賛し、ゴダールがその年のベストテンに選出した。

© 1965 - CAPAC

『健康でさえあれば』

監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 
脚本:ジャン=クロード・カリエール

1965年/フランス/パートカラー/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル/67分/字幕:横井和子

なかなか寝付けない男の一夜を描いた<不眠症>、映画館にいたはずが、幕間に流れるCMのおかしな世界へ入り込んでしまう<シネマトグラフ>、近代化が進む都市で人々が受ける弊害をシュールに描いた<健康でさえあれば>、都会の夫婦・下手くそハンター・偏屈な農夫が織りなす田園バーレスク<もう森へなんか行かない>の4編からなるオムニバス・コメディ。1966年にフランスで公開されたが、71年にエテックス自身によって再編集が施され、現バージョンに生まれ変わった。

© 1973 - CAPAC – Les Films de la Colombe

『大恋愛』

監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 
脚本:ジャン=クロード・カリエール

1968年/フランス/カラー/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル/87分/字幕:寺尾次郎

工場を営む実業家の一人娘と結婚した男。義父から仕事を任され、夫婦仲も良好ながら、どこか満たされない退屈な日々を送っていた。そんなある日、若く美しい秘書が現れ、どうしようもなく惹かれてしまい…。愉快な遊び心と想像力に溢れた初のカラー長編。妄想がエスカレートした男の夢に現れる、いくつものベッドがまるで車のように道を走るシーンは本作の白眉の一つだろう。ブニュエル並みにブルジョワジーを批判しながら、夢幻的な喜劇に仕上げているのも特徴だ。

© 1968 - CAPAC

<短編3本>

『破局』

監督・脚本:ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール

1961年/フランス/モノクロ/スタンダード/モノラル/12分/字幕:横井和子

恋人から手紙を受け取った男。中には破かれた自分の写真が同封されていた!こちらも負けじと別れの手紙を書こうと奮闘するが、万年筆、インク、便箋、切手、デスク…なぜか翻弄されてどうしても返事を書くことができない。ジャック・タチの縁で出会ったエテックス×カリエールによる初の短編作。セリフがなく、音を使ったギャグが冴える秀作。

© 1961 – CAPAC

『幸福な結婚記念日』

監督・脚本:ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール

1961年/フランス/モノクロ/スタンダード/モノラル/13分/字幕:井村千瑞

ある夫婦の結婚記念日。妻の用意するディナーに間に合うよう、プレゼントやワインを買い込み家路を急ぐ夫。しかし、パリの交通渋滞やその他の問題に巻き込まれ一向に辿り着けない。果たして、幸せな記念日にすることができるのか?当たり前のことがどんどん遅延することによって笑いを誘うエテックス×カリエールならではの喜劇の傑作。

© 1961 – CAPAC

『絶好調』

監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 
脚本:ジャン=クロード・カリエール

1965年/フランス/モノクロ/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル/14分/字幕:横井和子

田舎でソロキャンプをする青年。しかし、警官に管理の行き届いたキャンプ場に行くように言われてしまう。そこは有刺鉄線で囲われた、まるで強制収容所(キャンプ)で…。当初は『健康でさえあれば』(65)の一部を成していたが、71年の再編集で外された。2010年にデジタル修復された際に、ほかの作品とともに公開され、短編として生まれ変わった。

© 1971 - CAPAC